2013年8月1日木曜日

スイカと大家族

嫌いな果物はスイカメロンぶどうです。

夏になるとスーパーにはスイカが並ぶけど、最近夫が丸ごと 1 個買ってくるので、冷蔵庫が満員。
4 日がかりで食べては、また丸ごと 1 個買ってくるの繰り返し。

「そもそも食うのが俺だけなんだから、減るのが遅くても仕方ない」
「いや、一人しか食べんのになんで丸ごと買ってくる?」
「夏はスイカだろ?」

まあ、確かにそうだけど。

スイカが嫌いなのには、2 つ理由がある。

1. あの種がめんどくさい。
2. スイカにはちょっとしたトラウマがある。

アタシは 4 世代の大家族で育った。
メインメンバーはひいばあちゃんばあちゃん父親母親アタシ(途中から登場)で、これに時々ひいじいちゃん親戚の姉ちゃん(父親の従妹)が加わる。
当然、そういう家族はスイカは丸ごとだし、1 回で 1 個ほぼ食べ切れてしまう。
アタシもスイカが大好きで、庭で大きなたらいにプカプカ浮いてるスイカをいつかは叩き割ってやろうと野望を抱いていた。

ある夏の日、いつものように庭先でひいばあちゃんに切ってもらったスイカを父親と食べていた。
アタシは大人ばかりの家に生まれた久しぶりの子供だったせいもあって、大層甘やかされていた。
スイカの種は食べる前にひいばあちゃんが箸でつっついて取ってくれていた。
ちなみに、魚の骨も取って、身をほぐしてもらっていた。

庭先で父親と並んで座り、スイカの種の飛ばしっこをしていた。
父親は子供が苦手な人で、一緒に遊ぶとか、子供を可愛がるなんて滅多にない人だったけど、スイカの種の飛ばしっこがよほど好きだったんだと思う。
当然、大人である父親は遠くまで飛ばせる。
種の飛ばしっこだから、事前に種を取らずに、種ごとかぶりついて「プッ!プッ!」と種を飛ばす。
飛んだ種はひいばあちゃんが掃除してくれる。
父娘とも甘やかされてたわけだ。

かぷりとスイカにかぶりついた直後、うっかり種を飲み込んでしまった。

「おとーさん、スイカのたねのみこんだ」
「あー、スイカの種飲み込むとへそからスイカが生えてきて死ぬぞっ!

父親はそう言うと自分だけ食べ終わってさっさと立ち去って行った。
残されたアタシの頭の中では「スイカがへそから生えてきて死ぬ」という言葉がエンドレスにリピートされ、フリーズした。
そこへほうきとちりとりを持ったひいばあちゃんが登場。

「ばーちゃん、すいかのたねのみこんだから、おへそからすいかがはえてきてしぬって」
「誰がそんなこと言うた?」
「おとーさん」(若干半べそ状態)

この後、父親はこってり怒られた。
こうしてスイカが嫌いになった。

そんな父親は今でもスイカが大好物で、アタシにも「おい、スイカ食わんか?」と気安く言う。

「スイカは好かん」
「なんでえー?」

毎年、アタシは幼少時の恨み言を父親に説明するのだけど、また次の夏には父親に

「おい、スイカ食わんか?」

とスイカをすすめられる、をエンドレスに繰り返してる。

「親の自覚に欠けた父親」はあのころと変わらず、親の自覚に欠けたままナチュラルな年寄りになった。
きっと今年も「スイカ食え」とか「ぶどう食え」とか言うはず。


ところで、夫が買ってきたスイカをちょっと食べた。
途中でやっぱり種が邪魔で、イラッ!としたアタシはダメ元で頼んだ。

「ねえ、種取って。箸でつっついて種取って!」
「あ?!食うな!もう食うな!そんなこと言うなら食うな!」

まともな反応だと思う。
ついでに、魚の骨を取ってくれと頼んだときも同じ反応だった。

ああ、ひいばあちゃんがいてくれたらなあ。