2017年2月23日木曜日

子供からの手紙

生まれて初めて親戚の子供から手紙をもらった。

子供がおらず、子供好きでもない私ら夫婦は、親戚の集まりでも赤ん坊を以外の子供と触れ合うことがない。
たまに躾がなっていない子供がいたりして怒るのだけど、母に「子供の親の片方はあんたとは他人なんだからよその子供をあまり怒るんじゃない」と注意されて以来、ますます子供と距離を置くようになった。

今年のお正月は母の実家を訪れ、親戚一同で食卓を囲んだ。
従兄の息子夫婦が子供を連れてきていたのだけど、子供の名前も知らないし、それ以前にお嫁さんの名前も知らない。
いい具合に酔っ払って、子供の1人Sちゃんに話しかけた。
多分何度か会っていると思うのだけど、会話をしたことはなかったと思う。

「今何年生?」と、差し障りのない質問をした。
「6年!」
「じゃあ、今度中学?」
「うん」
「学校楽しい?」
「うん、楽しいけどね、あたしの学校荒れてるから大変なのよ」と予想外の答えが返ってきた。
「え?荒れてるってどういうこと?」
「んーっとね、学級崩壊まではいかないけど、崩壊しかけてる」
「え?」

騒がしい男子がいて先生が注意しようものなら、モンスターペアレントが学校に怒鳴り込んでくるらしい。
彼女の話がイキイキとしていてあまりにおかしかったので私ら夫婦も食いついてしまった。

「本読むの好き?」
「うん、大好き!」
「じゃあ、おばちゃんが本を送ってあげるね」

と、いう流れで約束をしたので先日本を送った。
そろそろ子供向けの本以外との出会いがあってもいいんじゃないかな?ってことで私の本棚から3冊、ブックオフのヤングアダルトコーナーで1冊選んだ。

送った本は次の4冊。


  1. 『謎解きはディナーのあとで』東川篤哉
  2. 『ゼロからトースターを作ってみた結果』トーマス・トウェイツ著
  3. 『わたしを離さないで』カズオ・イシグロ著
  4. 『辺境・近境』村上春樹著


『辺境・近境』は讃岐うどんの話が面白かったので選んだ。
カズオ・イシグロに関しては、夫に「読むわけないだろ」と言われた。

そして今週、宅配便が届いた。
Sちゃんが選んでくれたストールが入っていた。
手書きの手紙も入っていて、『謎解きはディナーのあとで』はドラマでやっていたこともあって、友達に羨ましがられたらしい。
Sちゃんは『ゼロからトースターを作ってみた結果』が一番気に入ったらしい。
子供の柔軟な好奇心と相性がいいのだろう。
当然、あとの2冊はまだ読んでいないらしい。

書店が激減したために図書館以外での本との出会いも減った。
無責任な親戚のおばちゃんが送ってくれた本が新たな出会いになればと思う。


そういえば、大学生のときに私の叔母が「これ面白いよ」と『羊たちの沈黙』を録画したビデオをくれた。
叔母はアメリカ在住なので字幕が入っていない。
当時の私は何度も一時停止しながら、繰り返し観たものだ。

明日にでもSちゃんにストールのお礼の手紙を送ろうと思う。

    Sちゃんへ
  
   ストールありがとう!
   おばちゃんが年末に酔っ払ってストールをなくしたことを 
   Sちゃんは知っていたのですか?
   とても素敵な色のストールに負けないように、
   おばちゃんも頑張ります。
   またお盆に会いましょう。
                      おばちゃんより


普段手書きしないので、小6のSちゃんと私の字にさほど違いがなかった。