質問:スーパーのBGM、平気ですか?
この数年だが、私はスーパーのBGMが苦手になって困っている。まず、うるさいのだ。店舗によって音量に違いがあるのだが、私の観測範囲に限っていうと、安いスーパーほど音量が大きいのだ。だからといって、高い店に行く余裕はないので我慢している。
売り場によってそれぞれにBGMがかかっているのも困る。私がよく利用しているスーパーは店舗全体で流れているBGMに加え、魚売り場と肉売り場にそれぞれ別の販促BGMが流れている。しかもかなりの音量で。魚売り場と肉売り場の間にいると3種類のBGMに晒され、ちょっとした拷問である。だから、私は買い物に時間をかけないし、おそらくそのためであろう、買い忘れが多い。
さらに、コロナ禍でマスクを着用するようになり、客とレジ係の間にはアクリル板やビニールカーテンが設置された。それなのにBGMの音量はそのまま。声が小さめの人だと何と言ったか聞き取れずに聞き返さねばならない。お互いにストレスだ。BGMさえもう少し絞ってくれたらと思うことが増えた。
実は学生時代、スーパーでアルバイトをしていた。普段の職場はバックヤードやオフィスだったので、まったりとした有線放送が流れていた。しかし、裏方の私も年に3回、年末、バレンタイン、そしてライオンズ優勝セール(または応援ありがとうセール)は売り場にかり出されるのだ。この3つの中でも、バレンタインとライオンズセールはダントツの苦行だった。前者は国生さゆりの『バレンタインキッス』が、後者は松崎しげるの『地平を駈ける獅子を見た』(タイトルは今はじめて調べた)がエンドレスで営業時間中ずっと鳴っているのだ。
当時の私は、反吐が出るほど仕事が忙しいことよりも、時給が安いことよりも、同じBGMを聴き続けることがつらかった。バレンタインのバイトが始まると、同じ売り場の仲間と「また国生さゆり地獄か…」と嘆きあった。当然だけど、チョコ売り場の人間は全員そらで『バレンタインキッス』が歌えた。今でもバレンタインシーズンにはこの曲が無限に再生されているのだろうか?
私は翻訳の仕事ができなくなったらスーパーで働きたいと思っているのだが、このBGM問題がある限り、野球チームを持っている(または野球チームに肩入れしている)スーパーでは働けないだろう。買い物に行くたびに「この店はちょっと無理だな」とか「このくらいのBGMだと、4時間くらいなら我慢できるぞ」などと考えながら未来の職場を品定めしている。コンビニはBGMが控えめだけど、仕事が複雑そうなのでハナから諦めている。
ちなみに、ふだん仕事中はBGMゼロである。たまに波の音とか川のせせらぎのような環境音を流す程度で、クラシックすら受け付けない。
魚売り場
肉売り場