仲居さんが宿の中を案内するときに息を切らしながら、坂を指差し「ここから2分ほど登っていただくと貸し切り家族風呂がありますんで」とさらっと説明してくれたのだけど、この2分間はまさしく登山体験。
途中「ご自由にお使いください」と杖が用意してある。
「フルマラソンの後なら絶対登れない」と自信を持って言える坂の上には露天風呂が2つ。
そのうちの大きな岩風呂に入ってビックリ!
絶景なんてもんじゃない。
残念なことにモヤっていたので(PM2.5の影響と思われる)、遥か遠くはぼんやりとしか見えないのだが、見渡す限り緑なのだ。
すこーんと開けた景色を見ながら、ちょっと熱めのお風呂を楽しんだ。
後で聞いた話では、ここには大きなガラス窓がはめられていたらしいが、地震でガラスが割れてしまったらしい。
ところがお客さんには「ガラスないほうがいいよ」と評判だというから、まさに怪我の功名。
驚きの絶景貸し切り家族風呂
食事は個室のお食事どころでいただくのだが、窓の外はやっぱり緑の森。
お風呂上がりで汗ばんでいたので、窓を開けて風に当たりながらの食事。
ここで仲居さんが「こんなときにお越しいただいて、お礼と言っては何ですが、お飲物はすべて宿泊料金に込みとさせていただきますので、お好きなだけお酒もお飲みください」と!
「え?それって、ちょっと申し訳ないというか、心苦しすぎます!」と言っても仲居さんはにっこり笑って「お客様に来ていただけて私どもはとても嬉しいんですよー」と。
ということで、期せずしてドリンクがタダになってしまったのだけれど、大酒飲みの私としては逆に追加をオーダーしづらい空気になってしまった。
この穴埋めと言っては何だけど、翌日久住のワイナリーにワインを買いに行った。
熊本の食材を使った前菜
ニジマスのカルパッチョ
熊本名物馬刺(私は食べられないので夫にあげた)
ヤマメの塩焼きと鯛の蒸し物
メインの肥後牛の焼き肉
揚げ物はエビクリームコロッケ
ご飯は「あきげしき」という小国地方で作られているお米で、収穫量が少ないため町外には流通していないらしい。
これが大変いい香りのお米で、お夜食用におにぎりも作ってもらえるので、食いしん坊さんはぜひおにぎりも食べるべし!
どの料理も美味で、新鮮な食材をふんだんに使っていて、文句なしの夕食だった。
仲居さんの話では、この宿は11年前にできたらしいが、山奥過ぎて地元の人もあまり知らないらしい。
できることなら、毎月行きたいくらいに気に入ってしまった。
客室にはコーヒーメーカーとコーヒー豆も用意されていて、緑茶はティーパックではなくお茶っ葉。
お風呂上がり用に冷たい麦茶と水も用意されていて、至れり尽くせりなのだ。
朝食の写真はないが、普通の和朝食(もちろん美味だった)。
チェックアウト後、久住の方までちょっと足を伸ばしてみた。
阿蘇の雄大な景色は震災前と何も変わっていないのだけど、所々山肌が崩れていたり、道路が崩れて片側通行になっていたり、交通量は圧倒的に少なくなっていた。
緑に覆われた阿蘇はこれからが一番気持ちよい季節なので、多くの人に訪れて欲しい。
万緑の季節
福岡方面から車で黒川、久住、阿蘇方面に行く場合、八女から442号線を通って行くルート、日田〜天ケ瀬温泉〜グリーンロード〜黒川というルート、玖珠または九重からやまなみハイウェイを通るルートの3つがあるものの、どのルートも一部規制が続いているようなので運転する際は案内板を見落とさないようくれぐれも注意していただきたい。
事前に熊本県や大分県のサイトで道路情報をチェックするのも忘れずに。
今回は残念ながら阿蘇に行けなかった。
旅館やホテルの中には湯量が減った(出なくなった)ところ、損害が大きいところ、被災者の宿泊に部屋を提供していて一般客は受け入れていないところが少なくなく、阿蘇訪問を見送ったのだが、今年は熊本大分両県の温泉にどんどん行く予定。
ただし、私のお財布と仕事のスケジュール、その他大人の事情もクリアしながら。
次回は湯布院温泉を考え中。
湯布院はメルヘン属性が強いので、私の好みとちょっとズレているのだが。