2017年5月28日日曜日

ゴマサバはどこへ行く?

アニサキス 森繁久弥に 居候

川柳の方が先に思い浮かんでしまい、本文は延び延びになってしまった。「アニサキス」という寄生虫の名前を初めて耳にしたのは、森繁久弥がアニサキス症で緊急入院したときだ。今ググってみたら、昭和62年の出来事だった。昭和62年といえば、安田生命が53億円ゴッホの「ひまわり」を買った年だ。携帯電話が登場したのもこの年らしい。バブル全盛期の日本は、金にモノを言わせて世界中でひんしゅくを買っていた。ある意味のどかな時代だった。

それから30年の時が流れ、福岡のローカルニュースではアニサキスが注目を集めていた。福岡でもここ数年アニサキス症の報告が増え、ゴマサバがピンチだという。ゴマサバとは、しょうゆ、みりん、ごまで和えた生のサバにネギや海苔をたっぷりトッピングして食べる博多の郷土料理、福岡の居酒屋定番メニューでもある。サバを生食することでアニサキス症のリスクが高まるのであれば、サバの生食自体が禁止されるのではないか?という危惧を取り上げていた。

そもそも、日本のアニサキスは2種類に分かれるらしい。日本海側のアニサキスは魚の内臓にとどまり、魚が死ねばアニサキスも死ぬ。一方、太平洋側のアニサキスは、魚が死ぬと魚の筋肉に移動してしまうというのだ。これを人間が食べると発症してしまうのだという。ところが、最近はサバの産地が明確に表示されなかったり、産地が偽装されたりすることもあるので、いっそのこと禁止してしまおうという声があるらしい。

私は魚が好きではない、特に青魚が嫌いでサバを食べることは皆無だった。それなのに、最近になって近所の居酒屋でゴマサバにトライして以来、割と好きな酒の肴になってしまった。ゴマサバがダメになっても、ゴマカンパチなんてメニューもあるので困らないが。ただ、食べ物を禁止するというのはいかがなものだろう。アニサキスの前は、鶏肉の生食禁止の話題も取り上げられていた。生食のリスクを周知することは大切だと思うが、それを知った上で、食べるかどうかの判断は自分ですべきではないだろうか? リスクゼロを優先するなら、生牡蠣だって禁止しなくちゃマズいだろう。そんな社会は果たして楽しいだろうか?

ただ、アニサキス症はとても痛いらしい。ということで、今後は「信用できそうな店」でのみゴマサバを食べることにした。幸い、自宅の近所に信用できそうなリーズナブルな居酒屋があるので助かっている。

近所の居酒屋のゴマサバ(¥580)