まこちゃんが亡くなってからというもの、ネットの海で記事や追悼コメントを漁り続けた。音楽的な功績よりも人柄を称える記事が多く、その愛されキャラが改めて日本中に知れ渡ったのではないだろうか。幼少時代は父親がアメリカ人だということで差別されたこともあったという。それでも、家族や友人に愛され、すべてを受け入れる寛容さを育み、音楽を家族を仲間をファンを愛した人だった。
まこちゃんを追いかけるようになってから、翻訳者として一流にはなれなくても、死んだときに「寂しくなるね」と言ってもらえるような人間にならなれるのではないかと考えるようになった。まこちゃんをお手本に、「善き人」になることを目指したい。
もちろん、私が考える鮎川誠の音楽的功績についても触れておきたい。ひとつは、音楽をプレーすることへの垣根をぐっと下げてくれたこと。「大げさな機材はいらない、上手じゃなくてもいい。仲間と一緒にジャーンと鳴らせばそれだけで楽しいパーティーのはじまりだ」と。
もうひとつは、大都市じゃなくてもシナロケは来てくれたこと。全国47都道府県を全部回るツアーもやった。「俺たちロケッツは、呼んでもらえたら日本中どこでも行くよ!」の言葉どおり、地方の小さなライブハウスにも何度も来てくれた。
ギタリストとしての評価、特に技術的な評価はさほど高くないかもしれない。ただ、ギターを弾いている人にならわかってもらえるだろうが、どんなに高い技術があっても絶対に敵わないオーラ(存在感)がある人だった。「ロックは生」という言葉どおり、同じ演奏なんてひとつもない、毎回その日だけのロックを聴かせてくれた。せっかくなので、最後におすすめの曲(動画)をいくつか紹介してこのシリーズの幕を閉じたい。
『スーツケースブルース』サンハウス
この曲を聴くと、あまりのノスタルジーにお腹が痛くなってしまう。泣きのギターソロがたまらない。柴山さんのボーカルも哀愁があっていい。
『バットマン』『ビールスカプセル』シーナ&ロケッツ
これよ!これ! これにワクワクこんなら、ロックやら聴かんでよか!(暴論)
『アイラブユー』シーナ&ロケッツ
ライブでの観客との一体感がよく出ている動画。
『レモンティー』シーナ&ロケッツ
シナロケと言えば、この曲。ボーカルは三女のルーシー。コロナ禍前なので、そりゃもう大騒ぎ。はしゃいでいる私の姿も映っている。
私も10年後か20年後かはわからないけど、この世を去る日が来る。三途の川を渡ったら、あの世のシナロケのライブ会場に全力ダッシュで向かう所存だ。渡りきる手前からあの爆音が聞こえるに違いない。閻魔様を突き飛ばしてでも最前列を確保するぞ! イェーイ! アイラブユー!